名古屋大学医学系研究科川部教授との共同研究
病変部での呼吸計測を実現する超小型センサシステム
本テーマでは、経気管支的に気道内肺機能測定を可能にする気管支カテーテルセンサシステム技術の実現を目指しています。具体的には、MEMS技術を用いて、末梢気道内にて呼気吸気計測が可能な超小型カテーテルセンサシステム(外径2.0mm以下)を開発しています。これにより、病変部位におけるその場呼吸機能計測を低侵襲で計測評価できるシステムの実現を目指します。本デバイスの実現により、将来的に、医学的に未知なる領域とされている末梢気道での呼気吸気特性の解明に挑戦します。
呼吸情報に基づいたマルチバイタルサイン計測技術
本テーマでは、大規模災害時での人命救助を目的として、生命活動において最も基本となる4つのバイタルサイン(呼吸数、心拍数、心拍出量、体温)全てを口元気流から分析する新たな計測解析方法の実現を目指しています。具体的には、MEMS技術によるマルチ物理量センサ集積化技術とバイタルサイン信号処理技術とを融合することで、呼吸という流体流れから、呼吸、心拍数、心拍出量、さらに体温のバイタルサイン情報を読取る計測・解析手法を研究開発しています。また、上記バイタルサインに加えて呼吸中における二酸化炭素濃度変化もリアルタイムにて計測する物理化学集積化センサシステムも併せて提案開発しています。
気流検出機能付き気管チューブシステムによる呼吸管理
本テーマでは、気管チューブ単体によるその場呼吸計測法を実現し、気管チューブの挿管・抜管(心肺蘇生時の気道確保、人工呼吸管理などで実施)に対する安全性及び処置判断精度の向上を目指します。具体的には、医療現場で実際に使用する気管チューブに装着可能な気流センサ、及びそれを組込んだ気流検出機能付き気管チューブシステムを開発しています。これにより気流検出機能付き気管チューブシステムによる呼吸状態管理を確立し、①挿管時における食道誤挿管を防ぐとともに挿管後における呼吸管理状態の異常(人工呼吸器の外れ等)を速やかに検出可能にします。また②人工呼吸器脱着後の自発呼吸量を基準とした新たな抜管処置指針を確立し抜管処理操作の最適化を図ります。