生体情報極限計測技術の開発(名古屋大学医学系研究科川部教授との共同研究)

肺機能計測用センサシステム

本テーマでは、経気管支的に気道内肺機能測定を可能にする気管支カテーテルセンサシステム技術の実現を目指しています。
具体的には、MEMS技術を用いて、末梢気道内にて呼気吸気計測が可能な超小型カテーテルセンサシステム(外径2.0mm以下)を開発しています。これにより、病変部位におけるその場呼吸機能計測を低侵襲で計測評価できるシステムの実現を目指します。本デバイスの実現により、将来的に、医学的に未知なる領域とされている末梢気道での呼気吸気特性の解明に挑戦します。

(1) M. Shikida, et al., Micromachined catheter flow sensor and its applications in breathing measurements in animal experiments, Microsystem Technologies, 20, pp. 505-513, (2014).
(2) M. Shikida, et al., Characteristics of an optimized catheter-type thermal flow sensor for measuring reciprocating airflows in bronchial pathways, Journal of Micromechnics and Microengineering, 20, 125030 (11pp), (2010).
(3) M. Shikida, et al., A Catheter-type Flow Sensor for Measurement of Aspirated- and Inspired-air Characteristics in Bronchial Region, Journal of Micromechnics and Microengineering, vol. 19, 105027 (9pp), (2009).

呼吸計測機能付き気管内挿管チューブの開発

本テーマでは、簡便にかつリアルタイムで呼気吸気計測が可能な気管内挿管チューブの実現を目指しています。呼気吸気計測が可能な気流センサをスリットジョイント内に組込むことで、気管内挿管チューブ単体での呼気吸気計測評価を可能にします。本デバイスの実現により、気管内挿管チューブ抜管時での自発呼吸を定量的に評価することが容易になります。
(1) M. Shikida, et al., Catheter flow sensor with temperature compensation for tracheal intubation tube system, Sensors and Actuators A, pp. 155-160, (2014)

疾患モデルでの呼気吸気計測

本テーマでは、マウス・ラットなどの疾患モデルの呼気吸気特性を、気道にて直接的に、かつリアルタイムにて計測評価します。これにより、気道収縮剤による呼吸の変化を高精度に評価する計測技術を提供します。

創薬評価用呼気吸気計測技術

本テーマでは、創薬評価を目的として、マウス・ラットなどの実験動物の気道に埋め込みが可能な呼気吸気計測センサの実現を目指しています。将来的には、安全性薬理試験ガイドラインに適合する唯一の評価技術の実現を目指します。


次世代経皮吸収剤技術の開発

生分解性マイクロニードルを用いた薬剤投与技術

本テーマでは、無痛かつ安全・簡便な次世代投薬法の実現を目指して、生分解性高分子材料による経皮吸収剤マイクロニードルの実現を目指しています。具体的には、MEMS微細加工技術を駆使して、原型となる超微細Si製マイクロニードルの金型を作製し、更にこれにモールドプロセスを加えて、核酸医薬・治療用ワクチンに適した「生分解性マイクロニードル」を実現することに挑戦しています。将来的には、本技術の確立により、無痛経皮ワクチン製剤などの新薬が開発されるとともに、自己投与化が可能(医療従事者の助けが不要)となり、開発途上国におけるワクチン接種が飛躍的に普及すると考えています。

(1) M. Shikida, et al., Micromachined pyramidal shaped biodegradable microneedle and its skin penetration capability, Microsystem Technologies, 20, pp. 2239-2245, (2014).


マイクロニードルアレイ作製技術

本テーマでは、MEMS微細加工技術を用いて様々なマイクロニードルアレイを実現する方法を開発しています。具体的には、エッチング加工を駆使することで、高アスペクト比のマイクロニードルアレイを実現する設計・製作製作方法を開発しています。
(1) M. Shikida, et., Non-photolithographic pattern transfer for fabricating pen-shaped microneedle structures, Journal of Micromechanics and Microengineering, 14, pp. 1462-1467, (2004).
(2) M. Shikida, et., Non-Photolithographic Pattern Transfer for Fabricating Arrayed 3-D Microstructures by Chemical Anisotropic Etching, Sensors & Actuators: A, 116, pp. 264-271, (2004)